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経済小説の迫真 同時代の光と影

<経済小説の迫真 同時代の光と影>(11)内田幹樹著「査察機長」 旅客機の操縦室、緊張感克明に

2024.01.17
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着陸態勢の旅客機。ひときわ神経を尖らせる時間だ。後続する機体が見える=2022年10月、大阪空港

着陸態勢の旅客機。ひときわ神経を尖らせる時間だ。後続する機体が見える=2022年10月、大阪空港

 全日空の元機長が書いた航空小説の名作だ。成田からニューヨークのケネディ国際空港(JFK)までの「査察フライト」のもようが克明に描かれ、コックピットの緊張感が手に取るように伝わってくる。同乗する「査察操縦士」は航空法にのっとって国土交通相の指名を受けて機長ら操縦士の技能を審査する資格を持つ特別なパイロットだ。「ミス一つで資格が剝奪されるかも…」。エアラインパイロットが恐れる査察飛行の長き1日が始まる。

 新米機長村井友洋、ベテラン大隅利夫、そして査察操縦士の氏原政信。この3人を軸に繰り広げられる会話と心理描写が本作の読みどころだ。最後に大雪の中の着陸という緊張のクライマックスになだれこむ。

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