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 16歳以上の人が乗る自転車の交通違反に対し、警察が交通反則切符(青切符)を交付して反則金を納付させる制度が始まった。処罰よりも安全意識の向上が目的という。ルールを順守し、自転車が絡む深刻な事故の防止につなげねばならない。

 兵庫県警によると、県内では2025年、自転車に乗っていた死傷者は3473人に上り、9割近くは自転車側に法令違反があった。歩行者にぶつかってけがを負わせる事故も相次ぎ、多額の賠償金の支払いを命じる判決も出ている。

 これまで自転車の違反を摘発するには、刑事処分を前提とする赤切符の交付しかなかった。捜査や処理に時間がかかるため、違反行為の取り締まりが進まない一因とされた。

 道交法改正で青切符の対象となる違反は、イヤホンや傘の使用▽並走や2人乗り▽信号無視▽無灯火-など113種類に上る。指導・警告が原則だが、悪質性や危険性の高い場合には青切符を交付する方針だ。警察は安易に反則金を科すのではなく、丁寧な指導を通じ交通法規や安全に対する意識を徹底させてほしい。

 一方で、即座に青切符を交付するケースもある。スマホを使用する「ながら運転」▽ブレーキがないなど制動装置不良▽遮断機の下りた踏切への立ち入り-で、反則金はそれぞれ1万2千円、7千円、5千円となる。従来通り赤切符の対象となるひき逃げや飲酒運転、あおり運転などを含め、悪質で危険な行為には厳しく対処するべきだ。

 現状は制度が十分に理解されているとは言い難い。国や自治体、警察が協力して周知に努めてほしい。交通安全教室を全ての年代に広げるなど学習機会の充実も重要となる。

 通行区分の違反には戸惑う人もいるだろう。自転車は「軽車両」に分類され、歩道通行は禁止されている。車道の左端を走るのが原則だが、自転車の通行帯がはっきりしなかったり、路上駐車で進路を阻まれたりすることも多い。車道での安全が確保できない場合や、13歳未満または70歳以上の人、身体障害者は歩道通行が認められている。

 自動車の運転者にも新たな義務が課された。自転車の右側を通過する場合は最低1メートルの間隔を保ち、できない場合は時速20~30キロへの減速が求められる。国や自治体は、専用レーンの拡充など自転車に配慮した道路環境の改善も進める必要がある。

 自転車は環境に優しく、健康増進にもつながるため、兵庫県でも23年に活用推進計画が策定された。実効性を高めるために、努力義務となりながら低迷するヘルメットの着用率向上など、官民一体で安全走行への取り組みを強めていきたい。