大規模な火災が起きた香港北部・新界地区大埔の高層住宅群=26日(共同)
 大規模な火災が起きた香港北部・新界地区大埔の高層住宅群=26日(共同)

 【香港共同=渡辺哲郎】夜通し放水を続ける消防隊員ら。住民たちは規制線の外側から赤い炎が上がる住宅をただ見上げるしかない。香港北部で起きた高層住宅群の大規模火災は、27日も延焼が続いた。「大切な家族はどこに」。住民らは安否が確認できず、情報を待つしかない状況にやり場のない不安やいら立ちを募らせた。

 高層住宅は27日朝になり、周りが明るくなっても、煙をもくもくと上げて燃え続けた。

 近くの中学校は緊急避難先となり、集まった多くの住民が毛布に身を包むなどして体を休めた。家族の安否情報を巡って涙を流したり抱き合ったりする人や、臨時の休憩所となった体育館に向かうバスに乗り込む人たちの姿も見られた。

 校内には行方不明者の届け出や心理ケアの窓口が設けられた。ボランティアらが弁当や水などを配り、住民を気遣った。

 60代女性は「こんなに大きな火災が香港で起きるとは」とため息をつき、補修工事を推進していた政府にも責任があるのではと話した。