高砂市高砂町の「御影屋」で独自に再現した「松右衛門帆」の製品を販売する柿木貴智さん(54)
高砂市高砂町の「御影屋」で独自に再現した「松右衛門帆」の製品を販売する柿木貴智さん(54)

 地域でそれぞれの課題に向き合い、頑張っている人たちがいる。この国のかじ取りを決める衆院選(2月8日投開票)にどんな思いを託すのか。東播地域の3人に聞いた。

■地方発の知恵を支える仕組みを 高砂市高砂町の「御影屋」で独自に再現した「松右衛門帆」の製品を販売する柿木貴智さん(54)

「故郷の高砂を盛り上げたい」。その一心で高砂青年会議所理事長だった2009年、ご当地キャラクター「ぼっくりん」を誕生させた。今では誰もが知る人気者で、いろんな場面で活用してもらっている。次々と企画やイベントを仕掛けたが、行政も一緒になって楽しんでくれたことで定着したと思う。

 東京一極集中で地方経済は元気がない。御影屋ではゆかりの偉人にちなんだ帆布でバッグなどを製作している。同様に「ご当地製品」を打ち出し、頑張っている人は全国各地にいるが、5年後、10年後にどれだけ残っているだろうか。

 東京と違って地方は民間だけの力で何とかできる状況にない。官の支援が必要だ。地方独自の知恵で生み出された製品やサービスを支える仕組みがほしい。

 助成金も大事だが、「巻き込まれてくれる行政」を望みたい。継続をサポートしてくれることで、新たな事業が自立していけるようになるからだ。そんな考えが見えてきそうな主張があるか確かめたい。(増井哲夫)

■在宅で父介護、費用並大抵でない 父の介護の傍ら、稲美町で小中学生などを対象に「麗萌書道教室」を営む岡崎恵美子さん(49)

 約15年前、父が脳梗塞で倒れ、右半身まひなどの後遺症がある。介護のために勤めていた神戸市内の百貨店を辞めた。子育てとの両立に追われる日々が続く中、稲美町の自宅で書道教室を開いた。

 数年前に父は寝たきりに。たんの吸引など付きっきりで世話をしている。3時間以上寝ることはない。父の年金を全て介護に充てているが、かかる費用は並大抵ではない。

 医師による在宅診療、日々の看護師の訪問は医療費の自己負担を抑える高額療養費制度を活用しているが、おむつなど日々の介護用品は対象外だ。

 月2回、自宅近くの病院に通う。介護タクシーを使うと片道5分の距離でも、1万円程度かかる。救急車で遠くの病院に運ばれた時には、帰りのタクシー代が脳裏をよぎる。

 町から金銭的な支援があるものの、十分とは言えない。制度にかからないところで費用がかさんでしまうのが現実だ。こうした状況に目を向けてほしい。国民と同じ目線に立った政治を望みたい。(田中朋也)

■「農業支えたい」に応える政治を 加古川市にある「ため池みらい研究所」を拠点に学生と農業の未来を考える山田真輝さん(31)

 高齢化で農家の担い手がいなくなり、農地が失われている。農業が激変するかもしれないのに、あまり真剣な目が向けられていなかったが、昨年の米不足・高騰で関心が高まった。

 「ため池アクション」という取り組みで加古川市と稲美町の農村部に学生らが入り、住民と課題解決を考える。農村部に関わる人を増やすテーマでは学生が地域イベントに関わり、夏祭り復活の契機になった。別の地域では、学生が農家の米をプロデュースするアイデアが進行中だ。

 生産者になるのが夢だったが、現実を知るにつれ、自分にできるのは農村部にさまざまなつながりを生み、支えていくことだと考えるようになった。大学や行政などと連携できる中間支援組織として、住民と悩みを共有する。

 点のような取り組みがつながれば大きな動きになる。ただ、農村部を抱える東播磨が「地域おこし協力隊」の対象外になっているなど制度が十分でない。農業・農村を支えたいという純粋な思いに応える政治を期待したい。(増井哲夫)

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