みんなで祈って来年も優勝や! 「虎党」たちの心のよりどころとなるスポットが、丹波市氷上町下新庄に誕生した。ユニホームを着たトラの像をまつるほこら風の建物で、その名も「虎球神(とらきゅうしん)」。フランス出身の地元の男性が、お世話になってきた「虎党」の先輩住民へ恩返しをしようと製作した。お披露目では、県内外のファンが集結。惜しくも逃した日本一を取るため、来季に向けて早速必勝祈願し、気持ちを高めた。(秋山亮太)
虎球神は、同市氷上町から多可町へと続く県道沿いの大江三千男さん(78)の自宅敷地にたたずむ。高さ3メートルほどの木造の建物で、中に縦じまユニホームを体に描いた大きなトラの像が鎮座する。一部が黄と黒に塗られた部材や壁面に描かれたロゴなど、「阪神愛」が随所に見られるデザインだ。
製作したのは、フランス出身で2017年から同市で暮らすシュミット・アントワンさん(46)=同市氷上町氷上。大江さんとは、チリ原産のニワトリ「アローカナ」を飼う際のサポートをしてもらったのが縁で知り合い、交流を深めてきた。
「何か恩返ししたい」と考えていたシュミットさん。筋金入りの虎党で甲子園観戦にも誘ってくれる大江さんに、タイガースにまつわるプレゼントを贈ることを考え、数年前、大阪の知人から譲り受けたトラの像を贈った。
特別な品に大江さんは大喜び。自宅前に飾って毎シーズン活用し、丹波からタイガースへエールを送ってきた。一方、大きくて外にしか置けないのがネックだった。雨風にさらされて年々色あせていたといい、憂いたシュミットさんは次に像を収める「家」づくりを考えた。
数年間アイデアを温め、今秋初めに大江さんに提案。「ファンが心を寄せ、その願いやエネルギーがチームに届く神社のような場所になれば」という意見も取り入れ、木材や瓦を集め、仕事の合間を縫って少しずつ製作した。トラ像は同じ氷上町内の植田清秋さん(71)が化粧直しした。
お披露目の集いでは、大江さんの呼びかけで約30人が祝福に訪れた。新たな「虎スポット」の誕生を祝い、2026年シーズンの日本一を願った。お供えを持参する人も多く、「さい銭」で集まった現金は、地域の社会福祉に役立ててもらうため市役所に寄付した。
大江さんは「日本一の虎神社。阪神の選手にもいつか来てほしいなあ」と大満足。シュミットさんも「みんなに喜んでもらって、頑張ったかいがあった」とほほ笑んだ。
今年は丹波市出身の早瀬朔選手=神村学園=が阪神にドラフト4位で指名され、仮契約を結んだ。大江さんは「虎球神の完成に早瀬君のニュースと、うれしいこと続き! 来年はチームの日本一はもちろん、早瀬君がさらに飛躍できるよう、丹波の地から一層熱くエールを送りたいね」と話していた。
























