大西瀧治郎の遺書。「一般青壮年」に特攻精神の堅持を訴えている(靖国神社所蔵)
大西瀧治郎の遺書。「一般青壮年」に特攻精神の堅持を訴えている(靖国神社所蔵)

■「2000万人の特攻」最後まで主張

 神風特別攻撃隊は、レイテ沖海戦で戦果を挙げたことで「米国に甚大な被害や精神的ショックを与え、早期講和への道を開く」という期待、すなわち「一撃講和」の思想も込めて実施されたとされる。しかし、実際には米軍側に決定的な打撃を与えることはできず、多大な人命損失が積み重なっていった。埼玉大学教授の一ノ瀬俊也(54)は「一度打撃を与えたところで米国が和平に応じるとは考えられず、一撃講和の考え方自体に無理があった」と指摘。防衛省防衛研究所調査員の柴田武彦(69)は「当初は一撃講和が目的だったが、特攻以外に大した戦果を挙げられず、日本側には特攻しかなくなってしまった」と解説する。