練習に打ち込む東洋大姫路ナイン。選抜大会初優勝を目指す戦いが始まる=姫路市打越の同校グラウンド(撮影・辰巳直之)
練習に打ち込む東洋大姫路ナイン。選抜大会初優勝を目指す戦いが始まる=姫路市打越の同校グラウンド(撮影・辰巳直之)

 「最近強くなりましたね」。東洋大姫路の監督、岡田龍生は備品の買い出しに訪れたホームセンターで、店員の言葉に苦笑いを浮かべた。自身は同校の選手時代、1977年夏の全国制覇をアルプス席で見つめ、主将として臨んだ79年の選抜大会では4強入り。「ありがとうございます」と答えつつ、「強いのは昔からやで」と心の中でつぶやいた。

 ただ、2011年夏を最後に甲子園で白星がないのも事実だ。履正社(大阪)で19年夏の日本一など輝かしい実績を築いた岡田が、母校の監督を引き受けたのは復権を期す思いからだった。

 現チームの選手にとっても、「TOYO」はなじみが薄かった。07~08年度生まれ。小中学生の頃、甲子園で勝ち進む兵庫勢といえば明石商、報徳、神戸国際大付-。「東洋大姫路ってどこや」。ともに西宮育ちの投手、阪下漣と末永晄大(こうだい)は名前すら知らず、岡田の手腕に引かれて入学を決めたと明かす。