兵庫の高校スポーツ界で、男子ラグビー部の衰退が止まらない。日本代表が躍進したワールドカップ(W杯)の追い風を受けて競技の裾野は広がるが、この30年で部員数はおよそ半減し、サッカーや野球など他の団体競技と比べても「独り負け」に近い状態だ。特に顕著なのが公立勢で、冬の全国大会(通称・花園)に出場した名門も廃部の危機にあえぐ。岐路に立つ指導の現場を歩いた。(金海隆至)
■目標は「3番手」
今年の全国大会県予選(15人制)は11月16日、神戸市須磨区のユニバー記念競技場で決勝があり、報徳が36-8で関学に快勝して4年連続50度目の優勝を飾った。私学2強の顔合わせは6年連続で、両校が優勝を分け合う時代が37年も続く。
県予選には学校単独17と合同出場5(計16校)の計22チームが参加。学校単独は神戸・阪神間の15校に播磨地域の加古川西と姫路工を加えたのみで、公立トップの目標は準決勝に進む「3番手争い」が定着しつつある。
部員の減少は深刻だ。県高体連によると、1996年度の1288人(55校)から徐々に減り、新型コロナウイルス禍を経て2021年度に千人を割ると、24年度は709人(35校)にまで落ち込んだ。120人を超える報徳や50人台の関学のほか、神戸科技、市尼崎、県芦屋など一部の上位校を除けば、ほとんどが30人に満たない。