立花孝志氏に対する刑事告訴が受理され、会見をする竹内英明前兵庫県議の妻(右)=8日午後、神戸市中央区元町通4(撮影・斎藤雅志)
立花孝志氏に対する刑事告訴が受理され、会見をする竹内英明前兵庫県議の妻(右)=8日午後、神戸市中央区元町通4(撮影・斎藤雅志)

 昨年11月に兵庫県議を辞職し、今年1月に死去した竹内英明氏に関する虚偽の情報を発信し名誉を傷つけたとして、竹内氏の妻が名誉毀損容疑で、政治団体「NHK党」代表の立花孝志氏を県警に刑事告訴したことが8日、分かった。妻が会見で明らかにし、「立花氏の発言は事実ではない。夫の尊厳を守りたい」と述べた。告訴は受理された。

 妻や代理人弁護士によると、県の告発文書問題を巡り、竹内氏は県議会調査特別委員会(百条委員会)の委員として問題を追及。交流サイト(SNS)で「斎藤元彦知事失職の黒幕」などとする投稿が拡散され、攻撃の矛先になった。

 告訴状によると、立花氏は昨年12月、街頭演説で「(竹内氏が)警察の取り調べを受けている」などと言及したとしている。SNS上などで中傷が集中し、竹内氏は「うつ状態」と診断され、今年1月に自死した。

 竹内氏の死後も、立花氏は「明日逮捕される予定だった」などと発言。当時の県警本部長が否定したが、評価を低下させる言動を続けたとし、「死者に対する遺族の感情を著しく侵害した」と主張している。

 告訴は生前だけでなく、死後の中傷もあり、県警はいずれも6月に受理した。死者への名誉毀損は過去の判例がないとされ、代理人弁護士は「(司法には)死者や遺族への誹謗中傷は許さない、と示してほしい」とした。

 妻は会見で「夫は追い詰められ、孤立し、社会に絶望してこの世を去った」と強調。「民主主義の根幹をなす選挙が、死者の冒瀆に利用される異常さ、悪質さを深刻に受け止めなければならない」と訴えた。

 一方、立花氏は8日、記者会見し「違法性が阻却されるだけの根拠を持って発言している。不起訴、あるいは無罪を確信している」と主張。竹内氏が百条委で斎藤氏を追及していたことに触れ「黒幕であると、誰でもそう思うじゃないですか」と述べた。