兵庫県の告発文書問題で、斎藤元彦知事を告発した元西播磨県民局長(故人)の私的情報を井ノ本知明前総務部長が県議に漏えいし、斎藤知事と片山安孝元副知事が関与したとして、神戸学院大の上脇博之教授が地方公務員法(守秘義務)違反容疑で出した告発状が20日、神戸地検に受理された。上脇教授の代理人弁護士が明らかにした。
これとは別に、長瀬猛県議(自民党)が県警に出していた井ノ本氏1人に対する同法違反容疑の告発状も同日受理されたことが分かった。
上脇教授の告発状によると、斎藤知事は昨年4月上旬ごろ、元県民局長の公用パソコン内にあった私的情報について、県議会に知らせるように命じるなどし、井ノ本氏が複数の県議に漏らしたとしている。片山氏も漏えいを容認したなどとした。
県の第三者調査委員会が5月に公表した報告書では、私的情報は同法で保護されるべき「秘密」に当たるとした上で、井ノ本氏が漏えいしたと認定。「斎藤氏や片山氏の指示による可能性が高い」とした。
第三者委の調査に対し、井ノ本氏は漏えいについて「知事や元副知事の指示に基づき、総務部長の職責として正当業務を行った」と説明。斎藤知事は「指示をしたことはない」と関与を否定した。片山氏は斎藤知事による指示を受けて「(議会への)『根回し』を指示した」とする一方、報告書の公表後、「前総務部長の行為は適正で秘密の漏えいに当たらない」とコメントしていた。