南海トラフ地震臨時情報の発表翌日、スーパーでは水の販売が制限された=2024年8月9日、神戸市内
南海トラフ地震臨時情報の発表翌日、スーパーでは水の販売が制限された=2024年8月9日、神戸市内

 気象庁が南海トラフ地震臨時情報を初めて発表してから1年がたった。予知とは異なるが、「南海トラフ地震が起こる可能性が相対的に高まった」とする情報を私たちはどう捉え、命を守る備えにつなげればよいのか。有識者2人とともに考えた。(上田勇紀)

 昨年8月8日午後7時15分、気象庁が発表した内容に、全国で緊張が走った。

 その日の夕方、宮崎県沖でマグニチュード(M)7・1の地震が発生。同庁は有識者を集めた評価検討会を開いた。普段よりも南海トラフ地震が発生する可能性が数倍高まっているとして、2019年の制度開始以来、初めて臨時情報(巨大地震注意)を出した。

 期間は1週間。津波避難経路など備えの再確認をし、日常生活を続けるよう呼びかけられたが、自治体や企業、市民は敏感に反応した。和歌山県白浜町は海水浴場を閉鎖。高知県や鹿児島県などの市町村が避難所を設け、JR西日本は一部列車を運休した。神戸市の小売店ではペットボトルの水が棚から消え、防災グッズが品薄になった。