兵庫県庁の庁舎=神戸市中央区下山手通5
兵庫県庁の庁舎=神戸市中央区下山手通5

 兵庫県の斎藤元彦知事の定例会見で批判的な質問をした記者が交流サイト(SNS)などで誹謗中傷を受けた問題で、新聞労連は5日、取材活動の萎縮を招き、知る権利が損なわれるとの声明を出した。知事に対し、報道の自由を尊重する観点で、事態を改善する見解を示すよう求めた。

 記者は7月22日の会見で質問。知事らを告発した元西播磨県民局長(故人)の遺族への攻撃がインターネット上で続いているとし、止めるよう呼びかけるべきではないかと問いかけた。その後、SNSやユーチューブで実名や取材関連のメールがさらされ、記者は担当替えになったことを明かした。

 新聞労連は声明で「これまでも斎藤知事への取材を巡っては、他社の記者もSNS上で中傷の対象となっている」と常態化を懸念。質問をした記者が誹謗中傷を受ける現状をどう考えるか、知事が踏み込んだ見解を示すべきだとした。

 また、この記者が所属する時事通信に対しても、再発防止のため記者を守る姿勢を示すよう求めた。同社は取材に「従来から、批判や論評の域を超える記者個人への誹謗中傷などの人権侵害行為には社として記者を守り、厳正に対処している。今後もその姿勢は変わらない」とコメントした。