「戦争孤児の記憶を断絶させてはいけない」と語る立教大の浅井春夫名誉教授=6月、埼玉県蓮田市
「戦争孤児の記憶を断絶させてはいけない」と語る立教大の浅井春夫名誉教授=6月、埼玉県蓮田市

 今回の取材のよきアドバイザーになってくれた元神戸市職員の白井勝彦さん(80)に、取材の成果を聞いてもらった。

 「浮浪児」「駅の子」と呼ばれ、盗みをしながら生き抜いた子。収容施設や親戚宅で過酷な経験をした子。

 白井さんはうなずき、言った。「本当にかわいそうなことです。彼らは戦争の最大の犠牲者だった。それなのに差別を受け、厳しい戦後を歩いたのです」

 白井さんが70歳を過ぎてから、神戸で初の実態調査を始めるまでの経緯を語り始めた。