神戸の戦争孤児について調査を重ねた白井勝彦さん=神戸市垂水区
神戸の戦争孤児について調査を重ねた白井勝彦さん=神戸市垂水区

 この夏の終戦の日、一本のアニメ映画が7年ぶりに地上波で放映される。

 「火垂(ほた)るの墓」。日本で最も知られているであろう〈戦争孤児の物語〉だ。

 原作の舞台は神戸と西宮。母を空襲で失い、父は戦地から戻らなかった。幼い兄妹は家も食べる物もなくなり、路上で衰弱死する。

 その哀れな末路は多くの人の涙を誘った。

 では、あのとき、同じ場所で、アニメの兄妹と同じように過酷な日々を生き抜いた孤児たちは、その後どうなったのか。彼らに手を差し伸べた人はいたのだろうか。

 戦後80年。その実情は今なお、ほとんど知られていない。

    *    *

 一つの数字がある。

 「全国孤児一斉調査」。終戦から2年半がすぎた1948年2月、厚生省(当時)がまとめた。戦争孤児に関する日本で最初の大がかりな調査とされている。