廃村の棚田跡に広がるジギタリス=兵庫県香美町村岡区小城
廃村の棚田跡に広がるジギタリス=兵庫県香美町村岡区小城

 兵庫県香美町村岡区の山奥にある廃村、小城地区で初夏、人知れず咲き乱れる花がある。欧州原産の園芸品種「ジギタリス」で、朽ちた家屋の軒先や山の斜面、棚田跡など至る所に紫や白の花が咲く。誰かが種をまいて広がったわけではないらしく、研究者はシカの食害による自然環境の乱れを指摘し、同様の事態の広がりを懸念している。(長谷部崇)

 小城は標高500メートル前後の谷あいに位置する。積雪が3メートルを超す冬は「陸の孤島」となり、高度成長期に人口流出が加速、人口30人を切った1984年に集団移転した。