全国各地で卸売市場の民設化や施設規模の縮小、廃止が相次ぐ中、建設から50年近くがたつ明石市公設地方卸売市場(同市藤江)でも再整備が課題になっている。場内の業者からは「老朽化は深刻。のんびり議論する猶予はない」との声の一方、再整備をすれば賃料などの負担増も懸念され、慎重な意見は少なくない。市は今秋、市場関係者や有識者らによる検討委員会を立ち上げるが、スピード感と同時に丁寧な合意形成も求められそうだ。
「もっとええ商売がしたい。そのために古くなった設備を更新したいが、市が市場をどうしていくのか見えず、身動きが取れない」。水産仲卸「吉市水産」の竹野望社長(45)は困惑の表情を浮かべる。
1977年に開場した同市場。塩水を扱う水産仲卸業者が集まるエリアは柱や階段の腐食が進むなど、特に劣化が著しい。施設内の路面にはひび割れが起こり、仲卸業者が軒を連ねる市場棟はシャッターが下りたままの区画も目立つ。
関係者の一人は「10年ほど前から建て替えの話が出ては消え、なかなか進まなかった」と明かす。2022年、市場の天井の断熱材が落下する事案が発生。23年9月には市議会に再整備の具体的な方針を定めるよう求める請願が出され、市は24年度に調査費を計上した。