兵庫県の告発文書問題は、県議会の調査特別委員会(百条委員会)に続き、元裁判官ら弁護士でつくる第三者調査委員会の報告書がまとまった。これに対し、斎藤元彦知事は「対応は適切だった」と受け入れない姿勢を堅持しており、大きな溝が生じている。「県政はデッドロック(膠着(こうちゃく)状態)に陥っている」と指摘する神奈川大の大川千寿教授(政治過程論)に話を聞いた。(聞き手・前川茂之)
-二つの報告書をどう見る。
「百条委は政治家から成るもので、知事と対立するメンバーもいる。報告書は政治的な側面があるという批判を完全に排除するのは難しい。だから『一つの見解』だと知事も強調していた。一方で、第三者委は法律の専門家から成り、中立性も高い。しかも知事自らが設置を了承した。その第三者委が『公益通報者保護法違反』と明確に認定し、パワハラも認定した。この意味の重さはどうやっても拭えない」
-一連の問題に対する県議会、第三者委、知事の3者の見解が出そろった。