神戸新聞で3年間にわたって連載された童話「かなしきデブ猫ちゃん」の新シリーズ「広島編」が始まるのを前に、神戸新聞と中国新聞による連載の引き継ぎ式が23日、広島県福山市で開かれた。著者の早見和真さんとかのうかりんさんのほか、兵庫県からもデブ猫ファンが駆け付け、主人公マルの新たな旅立ちを祝った。
「デブ猫ちゃん」は、2018年に愛媛新聞で始まった連載童話で、3歳のオス猫「マル」が出会いと別れを繰り返しながら各地を冒険する物語。神戸新聞での連載は22年4月から始まり、計3シリーズで兵庫県内の全41市町を巡った。
冒険の舞台は兵庫から広島へ。タイトルは「マルのさすらいのヒーロー」。兵庫編の最終回で“光のトンネル”をくぐり、兵庫を旅立ったマルが福山市に降り立つストーリーとなる。
引き継ぎ式には約200人が集まった。早見さんは「マルは被爆80年となる8月に広島市に行く。部外者である僕らがどう伝えていくかを考えたい」と語り、かのうさんも「祈りを込めて描きたい」と話した。
丹波篠山市から来た中川満紀子さん(57)は「マルはうそがなく、まっすぐ。物語に励まされたり、寄り添ってもらったり、新聞を読む時間が楽しかった。広島でどんな冒険をするか、楽しみ」と話した。
連載は4月5日から中国、愛媛両新聞の紙面や神戸新聞電子版「NEXT」で掲載される。(前川茂之)