避難先で息子を亡くした庄司範英さん(右)。「こころのケアセンターなごみ」の米倉一磨さんが話に耳を傾ける=福島県南相馬市
避難先で息子を亡くした庄司範英さん(右)。「こころのケアセンターなごみ」の米倉一磨さんが話に耳を傾ける=福島県南相馬市

 台所には、3日前に作ったおかゆの鍋がそのままになっていた。

 「おなかがすくっていう感覚がないんですよね」。庄司範英さん(60)が小さな声で言う。

 福島県南相馬市の平屋に一人住まい。室内には洗濯物がぶら下がっている。

 息子を失った後はアルコールに頼り、「死にたい」と考え続けた。手を差し伸べてくれる人がいなかったら、どうなっていたか。