ロシアによるウクライナ侵攻から3年。世界的ギタリストの鈴木一郎さん(76)=神戸市中央区=は、40年来の友人が暮らす国の行方を気にかける。音楽家の彼女は、長引く戦争による体調悪化や、演奏活動ができない苦しみをメールで吐露。戦争終結の実現性が不透明な中、鈴木さんは「早く平和が訪れ、再び共演できるように」と願う。(田中真治)
鈴木さんは幼少の頃からギターを始め、兵庫高校卒業後に渡欧。A・セゴビアやA・ピアソラら巨匠に教えを受けた。パリとバルセロナを拠点に1970年代末から世界を回り、旧ソ連時代のウクライナも訪問。「音楽好きの人が多く、食事やダンスに招かれた」。車窓から見た、黄金色の麦畑は今も目に浮かぶ。
ウクライナの民族楽器・バンドゥーラ奏者のオクサナ・ヘラシメンコさん(65)と出会ったのは、キューバの首都ハバナで82年に始まった国際ギターフェスティバル。彼女は当時キューバに住んでいて、楽器を手に楽屋を訪ねてくれた。