パラ陸上の世界選手権神戸大会は、共生社会の実現に向けて一助になった-。そんな研究結果を、スポーツプロモーションを専門とする流通科学大(神戸市西区)人間社会学部専任講師の青山将己(まさき)さんと、同学部教授の山口志郎さんを中心とした研究チームがまとめた。欧米発の考えをパラスポーツに応用。大会理念に掲げられた「インクルーシブ(分け隔てのない、包摂的)」を認識した度合いをアンケートにより可視化した。(千葉翔大)
神戸大会は昨年5月、ユニバー記念競技場(同市須磨区)を舞台に東アジアで初めて開催された。9日間の日程で、世界104カ国・地域から選手計1073人が参加した。
青山さんらは、2020年ごろから欧米を中心に広がった「DE&I」と呼ばれる概念に着目。英語でダイバーシティー(多様性)、エクイティ(公正性)、インクルージョン(包摂性)の頭文字を取った略語で、近年は日本の企業も経営理念に取り入れている。
「パラスポーツイベントが、障害者の社会的地位の向上にどのように寄与するのか十分に解明されていなかった」と青山さん。DE&Iをスポーツに用いた事例は少なく、評価尺度を定めることから始めた。