パビリオン「いのち動的平衡館」からのぞき見る大阪・関西万博の会場。今春開幕後に訪れる人に何を訴えるだろう=大阪市此花区、夢洲
パビリオン「いのち動的平衡館」からのぞき見る大阪・関西万博の会場。今春開幕後に訪れる人に何を訴えるだろう=大阪市此花区、夢洲

 波打つ屋根と、暗い建物の合間から見えるのは、4月の開幕を前に整備を急ぐ大阪・関西万博会場。柔らかな曲線に囲まれた空間が、未来を見つめる巨大な瞳のように見えた。

 「いのち輝く未来社会のデザイン」を掲げる同万博の中核施設「いのち動的平衡館」が昨年末報道陣に公開された。不思議な形は「細胞膜」を模したという。

 プロデュースした生物学者福岡伸一氏の解説を聞いた。生命は自ら体の組織を壊し、食事などを通して物質を取り込むことで全身を常に作り替えている。死は、分子レベルだと、終わりではなく、ほかの生命体への継承-。同館では福岡氏が唱える生命哲学を体感できるという。

 混迷の時代。万博の意義をこう表現する。「テクノロジーを示すだけでなく、どんな哲学、未来構想を立てるのか。世界の人が集まって見つめ直す。そういう機能が大切だ」(小林良多)