東海地震説について語る神戸大の石橋克彦名誉教授=神戸市長田区(撮影・杉山雅崇)
東海地震説について語る神戸大の石橋克彦名誉教授=神戸市長田区(撮影・杉山雅崇)

 1976年に「東海(駿河湾)地震説」を提唱し、国を挙げて地震予知に取り組むきっかけをつくった神戸大の石橋克彦名誉教授(80)が、阪神・淡路大震災の発生から30年を前に神戸新聞社のインタビューに応じた。「あれから50年近くたっても東海地震は起きていない。『差し迫っている』としたのは誤りだった」と話す一方、「危険性の指摘は間違っていなかった。提唱に後悔はない」とも。将来に起こりうる災害の可能性を発信し、備えを促す重要性を説いた。

■「地震対策の空白地帯だった」

 石橋氏は東京大助手時代の76年5月、駿河湾から静岡県の御前崎沖までを震源域とするマグニチュード(M)8クラスの地震発生が差し迫っているとする駿河湾地震説を提唱。新聞やテレビなどが次々と報じ、大きな反響を呼んだ。「社会を動かしたいと願って、あらゆる取材を受けました」