水平線に沈んでいく夕日と船が重なった=神戸市垂水区西舞子1から播磨灘を望む
水平線に沈んでいく夕日と船が重なった=神戸市垂水区西舞子1から播磨灘を望む

 沈みきる間際の太陽にすっぽりおさまった船。蜃気楼でゆがんだ夕日に、縦長の「瞳孔」のような影を宿す姿はまるで猫の目だ。朱から茜へ。暗さを増す西空に、名残の光が強い明暗を浮かび上がらせる。

 冷え込んだ大気と海水の温度差で光が屈折し、太陽がゆがんで見える「だるま夕日」を狙った時の一こまだ。撮影日は冷気で大気が澄み、遮る雲もない好条件。沈みゆく太陽は水平線に溶けるように「円」から「だるま形」「半円」「目」へ。わずか3分足らずの間にくるくる変化して姿を消した。

 播磨灘では秋冬にだけ楽しめる現象。だるま夕日に詳しい写真愛好家によると、今回撮影した神戸市垂水区の西舞子海岸からは、10月から3月ごろまで機会があるという。(笠原次郎)