阪神・淡路大震災の直後、ボランティア団体「神戸元気村」は神戸市灘区の石屋川公園を拠点に活動した。
山形県鶴岡市議の草島進一さん(59)は当時、有機野菜を扱う会社に勤めていた。会社で呼びかけがあり、同僚とトラックに野菜を積んで神戸へ。震災から1週間ほどがたっていた。
たどり着いた石屋川公園は家を失った人たちでごった返していた。軒を連ねるテントでは炊き出しが用意され、もうもうと湯気が上がっている。
草島さんも調理に加わる。「『震災後の1週間で、初めて温かいものを食べた』と言って、おじいちゃんやおばあちゃんが涙をこぼしたんです。それを聞いた瞬間、僕の中で何かがはじけた感じがしますね」
できることはたくさんある。このまま帰れない。3日間の予定で神戸に向かった草島さんだったが、間もなく会社を退職した。