兵庫県知事選が告示され、第一声に臨む候補者と支援者ら=31日午前、神戸市中央区相生町1(撮影・大田将之、画像を一部加工しています)
兵庫県知事選が告示され、第一声に臨む候補者と支援者ら=31日午前、神戸市中央区相生町1(撮影・大田将之、画像を一部加工しています)

 前知事の失職に伴う兵庫県知事選が31日、告示され、前職と新人の計7人が立候補を届け出た。7人が立候補するのは同知事選で過去最多。前知事や県幹部に対する告発文書の問題が発覚してから約7カ月。県議会の不信任決議を経て、兵庫のリーダーを選び直す選挙が始まった。投開票日は11月17日。

 立候補したのは届け出順に、いずれも無所属で、前参院議員の清水貴之氏(50)▽前尼崎市長の稲村和美氏(52)▽前知事の斎藤元彦氏(47)▽病院院長の大沢芳清氏(61)=共産推薦▽レコード会社社長の福本繁幸氏(58)▽政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏(57)▽ニュース分析会社社長の木島洋嗣氏(49)。

 31日午前、届け出を済ませた立候補者7人は早速、街頭で第一声を上げた。それぞれ、告発文書問題で停滞する県政の立て直しや、教育支援、地域活性化などの政策を有権者に訴えた。

 同問題では、県の元西播磨県民局長の男性が3月、前知事のパワハラ疑惑や贈答品の受領などを告発した匿名の文書を作成。前知事が「誹謗(ひぼう)中傷文書」として男性を特定し、県民局長を解任したことで発覚した。

 公益通報の調査より、懲戒処分を先行したことなどが問題視され、6月に県議会が調査特別委員会(百条委員会)を設置。7月に証言する予定だった元県民局長の男性が自死した。副知事や側近の幹部が相次いで辞職、離脱して県政の混乱は拍車がかかり、9月、県議会での全会一致の不信任決議に至った。

 選挙戦では、この問題の対応の是非や3年間の斎藤県政に対する評価、「知事の資質」を巡る訴えが注目されそうだ。

 知事の失職に端を発した選挙で、政党の出足も鈍った。3年前の前回選挙でともに斎藤氏を推薦した自民党は県議団が自主投票を決め、日本維新の会の県組織「兵庫維新の会」は清水氏を支援するが、党として推薦は出さず、他候補の応援を禁じる党議拘束もかけない方針を決めている。(知事選取材班)

【告発文書問題】兵庫県西播磨県民局長だった男性が3月、斎藤元彦前知事のパワハラ疑惑など7項目を挙げた告発文書を作り、関係者らに送付した。4月に県の公益通報窓口にも通報したが、県は通報者への不利益な扱いを禁じる公益通報者保護法の対象外と判断。内部調査を進めて誹謗(ひぼう)中傷と認定し、5月に停職3カ月の懲戒処分とした。これに対し調査の中立性を疑う声が噴出し、県議会が6月、調査特別委員会(百条委員会)を設置。証言する予定だった男性は7月7日に死亡した。斎藤氏は8~9月、百条委で2回証言。9月19日、県議会は斎藤氏の不信任決議を可決。同月26日、斎藤氏は30日付で自動失職し、出直し選に出馬する意向を表明した。

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