神戸空襲の死没者名簿を前に「なんとか若い世代に引き継ぎたい」と語る小城智子事務局長=神戸市中央区
神戸空襲の死没者名簿を前に「なんとか若い世代に引き継ぎたい」と語る小城智子事務局長=神戸市中央区

 神戸空襲の碑に犠牲者の名前を刻む「神戸空襲を記録する会」の活動に、黄信号がともっている。碑の建立から11年、刻銘を計6回追加してきたが、その数は漸減。今年は36人と、当初の4分の1に満たない。届け出は80~90代が中心といい「若い世代に活動を知ってもらわないといけない」と、来年の戦後80年に合わせて接点を増やそうと模索する。(田中真治)

 同会は1971年、神戸新聞の空襲連載への反響を受けて発足した。被災者の手記を会報で募り、慰霊祭を主催。78年に犠牲者名簿の作成を始め、2011年からは神戸市も情報収集に協力する。13年8月15日に「いのちと平和の碑」が大倉山公園(神戸市中央区)に建立され、1752人(現神戸市域、氏名の一部のみ・不詳を含む)の銘板が設置された。

 翌年からは、同会または神戸市への届け出分を隔年で追加。14年は158人、16年は102人に上るも、18年は31人にとどまった。20年に148人と上向いたのは一般の届け出に加え、機雷被害の船員が多数判明したためで、22年は40人、24年は36人と落ち込んだ。