神戸連続児童殺傷事件の全事件記録が廃棄された事実を伝えた2022年10月20日の神戸新聞報道を契機に、全国で重大少年事件記録が失われている問題が明るみに出た。最高裁は翌23年5月25日に責任を認めて謝罪し、今年1月30日、新たな保存制度の運用を始めた。これを受け、神戸地裁で特別保存された民事訴訟記録は、それまでの5事件から一挙に11事件へと急増した。新制度施行から半年が過ぎた。制度を実のあるものとするには、何が必要なのかを探った。(霍見真一郎)
最高裁の「司法統計年報」によると、神戸地裁の管内で2023年の1年間に判決などの終局を迎えた民事事件は2万4764件。こうした記録が毎年積み上がる中、今年1月の保存制度改変前までに特別保存(永久保存)されていた民事事件記録は5事件のみだった。つまり99%以上は保存期間の満了後捨てられていた。だが、制度が改変されるとわずか半年で、永久保存に6件が追加され、永久保存は計11件と2倍以上になった。