中高年が患う「白内障」は、「緑内障」など失明原因にもつながる恐れがある目の疾患だ。現在では完全な予防法はなく、視力を改善して生活の質(QOL)を向上させるには、放置しないで手術などの治療を受けることが大切になる。白内障の手術後に一定の割合で発症する「後発白内障」と合わせて、それぞれの発症メカニズムや治療法に迫った。(勝浦美香)
■加齢が最大の要因
白内障は、眼球の中にある水晶体が濁って起こる病気。水晶体はカメラでいうレンズの役割を担う部位で、一度濁ると元には戻らない。
発症の初期段階では、視界のかすみやまぶしさ、眼鏡の度数の変わりやすさなどが現れ、さらに進行すると視力が徐々に下がり始める。渡部眼科(尼崎市)院長の渡部暁也(あきなり)医師(50)は「多くの場合、濁りは水晶体の端から進行する。濁りが中央部分に差しかかることで瞳孔に重なり、光を取り込めなくなって視力低下が起こる」と説明する。