「自分の気持ちに正直に生きて」。高橋伶奈さんは子どもたちにそう伝えたいという=東京都世田谷区(撮影・長嶺麻子)
「自分の気持ちに正直に生きて」。高橋伶奈さんは子どもたちにそう伝えたいという=東京都世田谷区(撮影・長嶺麻子)

 私たちは取材を続ける中で、東北の子どもたちが神戸の遺児に自身の未来を重ねる場面を多く見てきた。

 昨年11月、神戸レインボーハウス(神戸市東灘区)の交流会に参加した高橋伶奈さん(22)もそうだった。岩手県陸前高田市出身で、今春まで東京で学生生活を送った。

 小学3年だった13年前、母の貴子さん=当時(46)=が津波にのまれ、しばらくして隣の大船渡市で遺体が見つかる。

 「『お母さんが帰って来るかも』みたいな甘いことは言えない空気でした」。再開した学校に多くのボランティアが支援に入る。「私たちは頑張らなきゃいけない。だから笑顔で『ありがとう』って。いい子でいましたね」。感謝の手紙を何度も書いた。高橋さんが故郷での日々を振り返る。