死刑判決を伝える原稿について意見を交わす、山梨日日新聞社の前島文彦社会部長(左から3人目)ら=1月18日、甲府市
死刑判決を伝える原稿について意見を交わす、山梨日日新聞社の前島文彦社会部長(左から3人目)ら=1月18日、甲府市

 元少年の被告は、「独りぼっち」ではなかった。

 1月18日に甲府地裁で開かれた夫婦殺人放火事件の判決公判。地元紙山梨日日新聞(山日(さんにち))の社会部長、前島文彦(46)は、遠藤裕喜被告=事件当時(19)=が入廷した際、人を探すように傍聴席へ目を泳がせたのに気付いた。被告は、見つけた誰かに会釈をした。前島は「こちら側(社会)と向こう側(被告)に、つながりが見えた」と話した。

 極刑を言い渡した後、三上潤裁判長は「考えることを諦めないでください」と被告に語りかけた。これを聞いた山日の甲府署キャップ松本飛勇馬(ひゅうま)(27)は、裁判長が死刑を望む被告に対して「もっとあがいてほしい、あがいて事件と向き合ってほしいと伝えたのではないか」と読み解いた。