有馬温泉の「銀の湯」からさらに奥へ進むと炭酸泉源公園に着く。名物の炭酸せんべいや有馬サイダーの原点である炭酸水が湧き出す場所だ。近くには1873(明治6)年に泉源を発見し、有馬の発展に尽くした梶木源次郎の顕彰碑が立つ。当時はくみ上げた炭酸水に砂糖を入れて販売されていたという。自然と人が織りなすテロワールの物語の宝庫、兵庫。今回は数多くのロングセラーを生んだ炭酸水の歴史をたどりたい。(辻本一好)
泉源に近い泉堂は炭酸せんべいの老舗。塩味とコク、しっかりとした食感があり、ビールや冷酒にも合いそうだ。「炭酸せんべいは店によって味が違いますよ」と社長の金野輝昭さんは笑う。
よく見かける「ありまサイダー てっぽう水」は明治末期に発売された製品を、温泉街の有志によって20年ほど前に復刻したものだ。