救命救急センターに隣接するコロナ臨時病棟。二つの機能を一体化させた新病棟の必要性が指摘されている=神戸市中央区港島南町2、市立医療センター中央市民病院(撮影・長嶺麻子)
救命救急センターに隣接するコロナ臨時病棟。二つの機能を一体化させた新病棟の必要性が指摘されている=神戸市中央区港島南町2、市立医療センター中央市民病院(撮影・長嶺麻子)

 新型コロナウイルスの位置付けが季節性インフルエンザと同じ5類になり、世間に平時の空気が漂う中、中央市民病院では新しい病棟の構想を模索している。救命救急センターとコロナ臨時病棟の機能を一体化させた施設を思い描く。

 その背景には苦い教訓がある。

 2020年4月に発覚した院内感染を乗り越えた後、院長の木原康樹(68)は「三つのICU(集中治療室)」を目標に掲げた。救急や手術後の重症患者を収容する二つのICUに加え、コロナ重症患者をみる感染症ICUを並立させる計画だ。

 木原は、流行初期の危機を経て組織が進化したと感じていた。感染が拡大すると部署の垣根を越えて総力戦で対応し、波が収まると従来診療に戻る。病床の調整能力を生かし、柔軟に対応できる自信があった。