2023年度新聞協会賞の受賞記者講演会が23日、横浜市内で開かれた。「神戸連続児童殺傷事件の全記録廃棄スクープと一連の報道」で受賞した神戸新聞社の取材班代表、霍見真一郎・報道部デスク兼編集委員は「事実は細い糸をたどるような調査報道の先にあった」と語った。
神戸新聞は22年10月20日付朝刊で、1997年に起きた神戸連続児童殺傷事件の全ての記録が廃棄されていた事実をスクープ。さらに、全国で重大少年事件の記録が廃棄されていた実態も続報した。最高裁は今年5月、責任を認めて謝罪し、再発防止策を講じると表明した。
霍見デスクは「事件記録は亡くした家族の最期を記す命の文書」とし、取材過程で遺族の心情を重視したことを明かした。「相手は司法の最高権力。相当な労力、時間をかけた長期戦だった」と振り返った。
毎日新聞社西部本社編集局写真部兼那覇支局の喜屋武真之介記者は「『伝えていかねば』沖縄・渡嘉敷島 集団自決の生存者」で受賞し、集団自決の背景などを話した。(末永陽子)