防護具を着けてコロナ患者の気管切開をするスタッフ。感染の有無にかかわらず手術ができる体制が求められた=2020年5月19日、神戸市中央区港島南町2、市立医療センター中央市民病院(同病院提供)
防護具を着けてコロナ患者の気管切開をするスタッフ。感染の有無にかかわらず手術ができる体制が求められた=2020年5月19日、神戸市中央区港島南町2、市立医療センター中央市民病院(同病院提供)

 神戸市立医療センター中央市民病院で院内感染が発覚した翌日の2020年4月10日、救急集中治療室(EICU)と心臓疾患集中治療室(CCU)はいつもと違う緊張感に包まれていた。一帯がレッドゾーン(感染区域)となり、全面的に新型コロナウイルスの重症患者の受け入れが始まった。

 レッドゾーンで働くスタッフの中に、4年目の看護師、荒木大岳(ひろたか)(28)もいた。

 荒木は3カ月前、妻と婚姻届を出していた。新婚生活をスタートさせようとした矢先に、コロナ病床を担当することになる。妻への感染リスクを避けるために同居を延期し、結婚式も先延ばしした。

 見慣れているはずの病室が、レッドに変わった後は別世界だった。全ての物が汚染されている前提で動かなければならない。