早稲田大学は14日、社会や文化、公共の利益に貢献したジャーナリストを顕彰する第23回「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」を発表した。公共奉仕部門の奨励賞に、神戸新聞社の「神戸連続児童殺傷事件の全記録廃棄スクープと一連の報道」(取材班代表=霍見真一郎・報道部デスク兼編集委員)を選んだ。
選考委員は、事件を追い続けてきた地元紙ならではの特報とし、「裁判所の文書保存に関わる改革方針にまでつなげた報道の意義は大きい」と評価した。
神戸新聞は2022年10月20日付朝刊で、神戸連続児童殺傷事件の全事件記録が廃棄されていたことをスクープ。ほかの重大少年事件でも記録廃棄が相次いでいた実態も続報し、記録の適切な保存を訴えた。
本紙は、同賞の第1回(2001年度)公共奉仕部門で「阪神・淡路大震災からの復興に向けての論説、評論活動」が大賞を受けた。今回の奨励賞で2度目の受賞となる。
今回の大賞は、公共奉仕部門で、NHK・EテレのETV特集「ルポ 死亡退院~精神医療・闇の実態~」と、琉球朝日放送の「命ぬ水~映し出された沖縄の50年~」を選出。草の根民主主義部門で、鈴木エイト氏の小学館書籍「自民党の統一教会汚染 追跡3000日」が選ばれた。応募総数は155作品だった。
【特集ページ】失われた事件記録