「塩の国」の入浜塩田で砂をかきおこす作業。塩がついた砂は沼井(右)に入れ、濃い塩水をつくる=赤穂市御崎、兵庫県立赤穂海浜公園
「塩の国」の入浜塩田で砂をかきおこす作業。塩がついた砂は沼井(右)に入れ、濃い塩水をつくる=赤穂市御崎、兵庫県立赤穂海浜公園

 兵庫県赤穂市立海洋科学館・塩の国は、国内最大級の塩田復元施設だ。晴れた日は朝から塩作りの作業が始まる。製塩技術を伝承する谷岡哲雄さんは「まんぐわ」という道具を引いて、砂紋を広げていく。「こうして砂をかきおこすと塩の結晶が速くできるんです」。自然と人が織りなすテロワールの物語の宝庫、兵庫。今回は江戸時代の画家で蘭学(らんがく)者の司馬江漢に「日本第一」の産地と評され、江戸や上方の食文化を支えた「塩の国」赤穂の歴史をたどりたい。(辻本一好)