兵庫県議選のニュース
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 「勝負を懸けたことに大きな評価を受けた」

 7日午後8時半すぎ、大阪市にある大阪維新の会本部。府知事、市長のダブル選で当選確実を早々と決めた松井一郎(55)と吉村洋文(43)の表情は神妙だった。

 看板施策「大阪都構想」の実現まで取っておくかのように万歳はなし。各地で開票結果を待つ仲間の地方議員への配慮でもあった。

 兵庫県議選の西宮市選挙区。維新公認中野郁吾(36)が3選を決めたのは会見の約3時間後だった。辛うじて最後の1議席に滑り込み、安堵(あんど)の表情を見せた。

 前回は選挙区2位で再選した中野を苦しめたのは党の方針だった。牙城・大阪に近い西宮、尼崎市で攻めの姿勢を打ち出し、現職、新人の計2人を擁立。「共倒れするのでは」と懐疑的な見方が広がった。

 4年前、県内で9議席を獲得する躍進を支えた元大阪市長橋下徹(49)は政界を引退。大阪に比べ兵庫の実績は多くはなく、ダブル選の余波を読み切れずにいた。

 結果は姫路市で現職が落選したものの、西宮では完勝。前回に並ぶ9議席を獲得した。神戸市議選も前回と同じ10議席を確保した。

 4年前は勢いそのままに翌年の参院選で新人候補が議席を奪取したが、今回は違った空気が漂う。

 「この結果をどう評価すべきか」。選挙を経てもなお、関係者は自らの党勢を測りかねている。

    ◇  ◇

 都構想を巡る交渉が決裂しダブル選のきっかけをつくった公明党。8日朝、テレビ番組での橋下の発言が党関係者に衝撃を与えた。

 関西で公明現職のいる六つの衆院小選挙区に維新候補の擁立を示唆。対立構図をあおり、都構想の是非を問う住民投票実現に向けて再交渉を求めた。

 公明は兵庫県議選と神戸市議選で25人全員が当選。支持母体・創価学会の組織力を背景に「常勝関西」と呼ばれ選挙の強さを誇るが、統一選では大阪市議選などで2人が落選した。

 党兵庫県本部の代表代行野口裕(68)は「維新の底力を見せつけられた」と驚く。公明の新人を含めて5人が立つ予定の夏の参院選兵庫選挙区(改選数3)を見据え、「新人を立てる立憲民主党を注視してきたが、維新も定着しつつある。自公で2議席のハードルは高くなった」と警戒感をあらわにする。

    ◇  ◇

 自民は今回、ダブル選のあおりを受けた。川西市・川辺郡と三田市選挙区で、ともに新人が維新候補に押し出される形で落選。無所属で立候補した元自民県議や別の党員も、西宮市と宝塚市で維新の壁に阻まれた。

 「ダブル選の影響は少なからずあった」と県連幹部。44人を擁立したが、議会の過半数を6下回る38に後退。「維新堅調」という誤算が響く。県連は8日、一部幹部による緊急協議を開催。議会運営を有利にする過半数確保に向け、無所属当選者に会派入りを促す「多数派工作」に動く。

 統一選が終わると参院選が待ち受ける。新人の擁立を決めた自民にとって正念場が続く。県連選対委員長の石川憲幸(63)が気を引き締める。「まずは県議会の基盤を立て直し、参院選につなげたい」=敬称略=

   ◆

 統一地方選前半の兵庫県議選、神戸市議選が終わった。地方政治を探る連載の第3部は選挙がもたらした波紋を追う。(統一選取材班)

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