ツチノコの目撃情報について話すハンターら=宍粟市千種町西河内
ツチノコの目撃情報について話すハンターら=宍粟市千種町西河内

 宍粟市千種町で昭和40年代に目撃情報が相次いだ未確認生物「ツチノコ」を見つけようと、ちくさ高原マウンテンビレッジ(同市千種町西河内)で捜索イベント「つちのこさがし」が初めて開かれた。参加者は、生け捕りに懸賞金が用意された当時の町担当者や、ベテランハンターらに生息地や身体的特徴を聞き、山の中へ。果たしてツチノコは見つかったのか-。(喜田美咲)

今も続く目撃情報 道の駅に情報拠点を開設へ

 地域資源を生かしてまちを盛り上げようと、道の駅ちくさなどが企画。初めにトークショーがあり、旧千種町の元職員・清水忠二さん(67)やツチノコハンターの島崎研造さん(69)=姫路市=、オカルト雑誌「ムー」の編集者らが登壇した。

 清水さんによると昭和40年代、旧千種町では「ノヅチ」とも呼ばれたツチノコの目撃証言が複数あり、捜索隊まで結成された。平成の初めに同町の観光担当だった清水さんは、道の駅ちくさに設置する看板を地元らしいデザインにしようとツチノコの形状に。その由来を知った新聞記者から当時の町長に提案があり、生け捕りにした人に懸賞金2億円を渡すことにした。テレビの全国放送や専門誌でも取り上げられ、町は一躍有名になったという。

 捕獲者はいないまま、宍粟市への合併で懸賞金は廃止されたが、今でもハンターが町を訪れており、今年も千種高校付近で目撃情報があったという。

 ハンター歴40年で今年も7度、同市千種町を訪れたという島崎さんは、これまで雑誌などで見てきたツチノコには、太くて短い体と小さな尻尾があるビール瓶のような体つきや、転がるように坂を下るなどの特徴があると紹介。捜索時は体にカメラを装着した状態で網を手に、ひたすら山を歩くと話した。

 イベントでは、2001年に旧千種町で見つかったツチノコの可能性があるというミイラも展示。佐用町の大学生西本龍宇輝さん(19)が、発見者の亡き祖父から譲り受けたという。三角形の頭やくびれのある胴体がよく知られた特徴そのもので、来場者はくぎ付けになっていた。

 トーク後にはツチノコにまつわる謎解きゲームや、山に入って捜索する「ガチ探し」を実施。ガチ探しではクリンソウの群生地である湿原の遊歩道を歩き、下草の茂みや小川の橋の下などを見て回った。この日は事前に主催者が隠した模型が見つかっただけで、本物は発見されなかった。

 参加した会社員の桜井祐介さん(53)=三田市=は、趣味の渓流釣りと合わせて水辺での捜索を続けているといい、ファイバースコープで木の根元の穴などを入念に確認。「跳ぶのを見たという情報もあり、どんな体のつくりなのか、地球上の生物なのかなど不思議が多いことが魅力。イベントをきっかけに、また町を挙げて探せば情報が増えてくるかも」と期待を寄せた。

 道の駅ちくさでは、来春までにツチノコ関連の資料や目撃地点をまとめた地図などを紹介する「千種町つちのこ発見・研究本部」をを設置する予定。捜索イベントに参加した人にハンターの資格を付与し、ハンター限定で購入できるグッズや料理などを開発していくという。