父恒男さんの遺影を手に、「戦犯遺族」としての思いを語る寺越脩さん=西脇市岡崎町

父恒男さんの遺影を手に、「戦犯遺族」としての思いを語る寺越脩さん=西脇市岡崎町

 「世間の人から『親のない子供は』と笑われぬようにしなさい」。兵庫県西脇市に住む寺越脩さん(82)は、この言葉を胸に戦後を生き抜いてきた。陸軍衛生兵として太平洋戦争に従軍し、シンガポールで処刑された父、恒男さんの遺書の一節だ。一家は離散し、「戦犯遺児」のレッテルと向き合い続けてきた寺越さん。刑死した父らの名前を刻んだ墓標を現地に建ててあげたい-という願いを胸に抱く。