東日本大震災の被災者に取材する大山伸一郎・三木支局長=三木市末広1(撮影・小西隆久)
東日本大震災の被災者に取材する大山伸一郎・三木支局長=三木市末広1(撮影・小西隆久)

 2016年に起きた熊本地震で、ある家族を取材させてもらった。1階がひしゃげた2階建ての家の前に、近所の住民たちが集っていた。話を聞き、写真を撮らせてもらいたい-。ゆっくりと近づく。被災地ではいつものことだが、後ろめたさがぬぐいきれない。拒まれ、怒鳴られるのもつらい。

 でも、その人たち-田上さん一家は取材のお願いを受け入れてくれた。出張中の1週間、毎日訪れても嫌な顔もせず、壊れかけた1階にまで招き入れてくれた。1年後に再訪したとき、その家族は仮設住宅に移っていたが、家屋が取り壊され、更地になった場所で撮影に応じてくれた。

 ただ、こんなことは極めて稀だ。

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 教訓の継承には「30年限界説」というものがあるらしい。