稲わらのすき作業を大学関係者に指導、協力した茅葺き職人の相良育弥さん(中央)=三木市久留美
稲わらのすき作業を大学関係者に指導、協力した茅葺き職人の相良育弥さん(中央)=三木市久留美

 冬の初めの昼下がり、山田錦の刈り取りも終わった田んぼが眼前に広がる農業体験宿泊拠点「心拍」に、続々と若者たちが集まってきた。岩崎達也(39)が非常勤講師を務める京都精華大学(京都市左京区)メディア表現学部の、学外ワークショップが始まろうとしていた。

 長さ1メートルほどの稲穂を「すぐりわら」にするのが、この日の課題。手動の脱穀機を使い、「はかま」と呼ばれる根元の皮を取り除く。それから天日干し、くん蒸を経て完成させたすぐりわらは、心拍のベッドに置く「藁(わら)布団」や、外壁の装飾に使うという。

 「筋が良いね。やったことあるの?」。初めての作業に取り組む学生に声をかけたのは、三木市出身の茅葺(かやぶ)き職人・相良育弥(44)。「くさかんむり」(神戸市北区淡河町)という会社を経営し、東京都心で茅葺きの新たな用途を演出するなど伝統文化の保全と創造に取り組む。