「神戸のお嬢さま」と慕われ、3月末にこの世を去った王子動物園(神戸市灘区)のジャイアントパンダ「タンタン」をしのぶ催しが29日、同園であった。飼育員4人が、タンタンが神戸で過ごした24年間のエピソードを紹介。全国から寄せられた写真やメッセージをまとめた動画と記念アルバムも公開され、ファン160人が愛らしい姿を懐かしんだ。
タンタンの死から半年となり、今月は誕生月でもあることから、中国駐大阪総領事館と同園が共催した。
あいさつで薛剣総領事が「日本のみなさんを癒やしてくれた。満足して旅立ったのではないか」と話し、タンタンが阪神・淡路大震災の被災者を勇気づけた功績をたたえた。
タンタンの来神に向け、中国で研修を受けた飼育員兼光秀泰さんは、優しくパンダと触れ合う現地の飼育員をまねて接するようにしたという。すると、中国では臆病だったタンタンが、神戸では「逃げずに検査を受け入れるようになった」と振り返り、目を細めた。
最後は薛総領事から日中の架け橋として貢献したタンタンに「中日友好特使」の称号が授与された。パンダに与えられたのは2例目という。(門田晋一)