今夏、加東市で「戻りたい場所 かとう」という職業体験を始めた。子どもたちに地元の仕事を知ってもらい、将来の選択肢にしてもらう。同市下久米で介護施設や事業所を運営する傍ら、この取り組みを始めたのは、人や地域のために頑張る企業や団体を応援したいという思いからだ。
愛知で大学時代を過ごしたが、父に呼ばれ故郷の加東へ戻った。就職氷河期の中で、地元にどんな仕事があるかわからないまま同市社会福祉協議会に就職。デイサービスの立ち上げを任された。
知識もなく飛び込んだ介護の現場は「一生かけてやらんといけないすごい仕事」だったという。病気や加齢により、当たり前にできていたことができなくなった利用者。助けがなければ排せつや食事、着替えや歩行も難しい。人生が一変した絶望を抱え、それでも生きなければならない現実を目の当たりにした。