廃業した播州織工場を改修した「吉田卓球場」(兵庫県多可町中区天田)が、地域の卓球好きから愛されている。自身も愛好家の吉田宜功(きよし)さん(44)が2020年1月にオープン。特徴的なのこぎり屋根をそのまま残し、レトロさと採光性を両立させた。1日500円で練習に打ち込めるのも魅力。かつては織機の機械音で満たされた場内に、ピンポン球が弾む軽快な音が響く。(伊田雄馬)
吉田さんは中町中学校、多可高校で卓球部に所属。就職した会社でも、社内の実業団で競技に打ち込んだ。2人の息子が生まれると、身近に卓球を楽しめる環境をつくりたいと考えるようになった。
工場には元々別の所有者がおり、廃業後に譲り受けた。新型コロナウイルス下で勤務先の会社に自宅待機を命じられ、空いた時間で改装に着手。織機を撤去し、床を張り替え、トイレを設置し…と、少しずつ造り替えてオープンにこぎ着けた。
「元の所有者の意向もあり、のこぎり屋根はそのままにした」と吉田さん。どれだけいても料金は500円なので、「14時間近く打ち続ける人もいる」と笑う。
本年度からは中学校体育連盟に登録し、卓球部がない中学校の生徒が「吉田卓球場」の所属選手として大会に出場できるようになった。6月には西脇市内の女子生徒1人が、初の所属選手として中学総体の地区予選に出場したという。
小さな子どもが遊ぶスペースを用意し、夏には駐車場にプールも登場する。
初心者には吉田さんが直接指導するといい、「卓球を始めてみたいという人は、ぜひ一度足を運んでほしい」と呼びかけている