自らデザインした生地の織り上がりを見守る参加者=西脇市高田井町、遠孫織布
自らデザインした生地の織り上がりを見守る参加者=西脇市高田井町、遠孫織布

 播州織の生地マルシェ「第4回播州織産地博覧会(播博)」が4日、兵庫県西脇市西脇の中心市街地などで開かれた。旧来住家住宅から市役所までの約1キロが会場となり、播州織メーカーが商品を安値で販売。市内外から約8千人が押し寄せ、生地を売り買いする人々の熱気に包まれた。(伊田雄馬)

■初企画の「オープンファクトリー」

 今回の播博では、工場見学や体験を通じてものづくりを感じられる「オープンファクトリー」が初めて企画された。3日に開かれ、西脇市と多可町の播州織メーカー7社と市郷土資料館が織物工場などを公開した。

 播州織は2025年の大阪・関西万博に合わせ県内で展開する体験型観光事業の一つに選ばれている。オープンファクトリーは盛り上がりを機にファンを増やそうと企画され、ウェブサイトなどで参加を募った。

 西脇市高田井町の「遠孫織布」では、参加者がオリジナルの生地を制作。遠藤由貴社長(52)がコンピューター上で、参加者が事前に用意した絵柄を処理し、織り機に読み込ませた。

 友人と参加した丹波市の主婦(38)は、3人の息子が描いた絵が目の前で織り上げられていく様子に感動。「早く息子たちに見せたい。給食袋を作ろうかな」と喜んでいた。

■開催のたびに規模拡大、定着実感

 播博は、中心市街地の活性化を目指す住民有志が発案し、回数を重ねるごとに規模が拡大。今年は前回を8社上回る31社が参加し、沿道にはカラフルな生地を販売するブースが軒を連ねた。

 3回目の出店となる産元商社「カゲヤマ」は、色鮮やかなチェック柄やワンポイントの生地を1枚千円以下で販売。一般消費者向けのポップな柄物をそろえたといい、藤村優馬営業課長は「昨年購入した生地を仕立て、着てくるリピーターもいる」と、イベントの定着度合いを実感していた。

 国登録有形文化財の旧来住家住宅ではワークショップが開かれ、来場者が生地の端切れを使ったアクセサリーや、北米の少数民族に伝わる装飾品「ドリームキャッチャー」の手作りに挑戦した。

 一方、近くの機殿神社では4日、播州織の発展を願う「織物感謝祭」も開かれた。染め糸の奉納や、巫女姿の女性が木の機織りで布を織る「製織の儀」などの神事があり、業界関係者ら約30人が参加した。