二つの被災地で生まれた歌を歌う不来方高校と神戸高校の生徒たち=西宮市民会館アミティ・ベイコムホール
二つの被災地で生まれた歌を歌う不来方高校と神戸高校の生徒たち=西宮市民会館アミティ・ベイコムホール

 歌が、二つの被災地をつないだ。合唱の名門・岩手県立不来方(こずかた)高校音楽部が2月末、西宮市内でコンサートを開いた。東日本大震災以降、ふるさとの復興を祈って歌い続けており、阪神・淡路大震災の地を訪れたのは、遺族との交流がきっかけだった。神戸高校も一緒にステージに立ち、「しあわせ運べるように」「花は咲く」など震災から歌い継がれてきた曲が響き渡った。(土井秀人)

■芦屋で2人の子を亡くした男性との交流が縁

 東日本の発生から21日後の2011年4月1日、音楽部は岩手県山田町の避難所でコンサートを開いた。不来方高は内陸部のため津波被害はなかったが、沿岸の山田町では家屋の4割近くが全壊した。生徒たちの乗るバスが近づくにつれ、がれきや倒壊した建物が広がっていく。