自動販売機の下に落ちていた航空券を拾ったら、役者人生の道が開けた-。そんな波瀾万丈の歩みをつづった自伝風エッセー「拾われた男」が連続ドラマにもなった尼崎市出身の俳優松尾諭さん(48)が9日、母校の西宮南高校(西宮市高須町2)の創立50周年記念式典で講演した。「『拾われた男』が拾ったもの」と題して、人生哲学を軽妙に語り、在校生や保護者、同窓生ら集まった約千人を沸かせた。(金海隆至)
鳴尾浜に面した同校は1975年に創立。西日本最大規模の住戸数を誇る武庫川団地(愛称・レインボータウン)に隣接し、高須地区の発展とともに歴史を刻んできた。卒業生は1万4500人を超える。式典は、教員らでつくる実行委員会が西宮市民会館(同市六湛寺町)で開いた。
松尾さんにとって、同会館は俳優を志す原点となった場所。高校2年の秋、学校の文化鑑賞行事で見た演劇「青春デンデケデケデケ」のステージに目がくぎ付けになった。「カーテンコールで拍手を受ける役者さんたちがきらきらと輝いて見え、『これや!』と。僕もあそこに立ちたいと思った」と当時の感動を振り返った。