自動運転の出発式に臨むネスレ日本のオリビエ・ロラン・モントゥ常務執行役員(中央)ら=姫路市香寺町犬飼、同社姫路工場
自動運転の出発式に臨むネスレ日本のオリビエ・ロラン・モントゥ常務執行役員(中央)ら=姫路市香寺町犬飼、同社姫路工場

 ネスレ日本(神戸市中央区)は10日、姫路工場(姫路市)で製造したコーヒー製品を、自動運転トラックで千葉県野田市の物流拠点に運ぶ実証実験を始めた。640キロの行程のうち高速道路区間の430キロを、状況に合わせて運転手が自ら運転する「レベル2」で検証する。同社は、一定の条件下で無人運転する「レベル4」での輸送も視野に入れている。

 自動運転システムの開発や輸送サービスを提供するベンチャー「T2」(東京)と共同で、来年8月までに計4回実施する。トラック1台に約10トンの商品を積み込み、運行ルートや時間、運ぶ製品への影響などを検証する。ネスレは残業時間の規制強化による運転手不足に対応しようと、実証を決めた。

 自動運転する区間は、大阪府高槻市の名神高速道路高槻ジャンクション(JCT)から、神奈川県綾瀬市の東名高速道路綾瀬スマートインターチェンジ(IC)まで、行程の約7割に及ぶ。トラックには主力製品「ネスカフェ ゴールドブレンド」の瓶や詰め替えパックを載せる。

 一方、帰路には横浜市と西宮市の物流拠点間で、「ネスカフェ ドルチェグスト」の専用カプセルを運ぶ。綾瀬ICから名神高速の西宮ICまで、行程の9割に当たる450キロが自動運転となる。いずれも課題を検証した上で、定期運行を目指すという。

 姫路工場で会見したネスレ日本のオリビエ・ロラン・モントゥ常務執行役員は「人手不足という環境下でも安定的に商品を届けられるよう、持続可能な物流体制を構築していく」と話した。(大盛周平)