「コ・ノ・ホ・シ」を開発した兵庫県立農林水産技術総合センター主任研究員の篠木佑さん=加西市別府町
「コ・ノ・ホ・シ」を開発した兵庫県立農林水産技術総合センター主任研究員の篠木佑さん=加西市別府町

 兵庫県で今秋、夏の暑さに強いお米がデビューした。「コ・ノ・ホ・シ」。20年ぶりとなる県の新品種は、どのようにして生まれたのか? 開発を担当した県立農林水産技術総合センター(加西市)主任研究員の篠木佑さん(44)に聞いた。(聞き手・長尾亮太)

 -開発のきっかけは。

 「県内でコシヒカリ、ヒノヒカリに次いで品種別の作付面積が大きいキヌヒカリの品質が下がったことです。温暖化の影響で、最高品質である1等米の比率は2等米を下回るようになり、2010年には6・8%まで落ち込みました。等級が下がると、農家は手取りが減って、コメ作りにプライドを持てなくなります。農協などでつくるJAグループ兵庫から、代わりとなる品種を開発してほしいと要請を受けました」

 -気温が上がると、なぜコメの品質は下がるのか。

 「キヌヒカリの場合、穂が出る8月上旬から20日間の平均気温が27度を超えると、『白未熟粒』という白く濁った米粒ができやすくなります。内部にデンプンが詰まりきっておらず、味が落ちる場合もある。精米で割れやすくなって、流通量も減ってしまいます」

 -県外から取り入れず、独自に開発した理由は。